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津島市食品安全委員会
最終更新日:2024年8月28日
津島市食品安全委員会とは
目的
食生活に関連する分野での安全性を増進し、市民の現在と将来にわたる安全な食生活を確保することを目的として設置されています。
委員会名簿(令和6年4月1日現在)
氏名 | 所属 | |
---|---|---|
委員長 | 猪飼 誉友 |
中部大学研究員(応用生物学部) |
副委員長 | 宇藤 久子 | 津島市女性の会 |
委員 | 尾関 聡 |
津島保健所環境・食品安全課長 |
委員 | 後藤 英司 |
海部農林水産事務所農政課長 |
委員 | 鬼頭 陽子 |
一宮生活協同組合 |
委員 |
成田 直美 |
一宮生活協同組合 |
委員 |
日下 京子 |
津島・愛西母親連絡会 |
委員 |
平光 佐知子 |
コープあいち |
委員 |
垣見 圭子 |
津島市健康づくり食生活改善推進協議会 |
委員 |
大島 幸枝 | 津島市市民くらしの講座実行委員会 |
食品安全委員会報告
直近の報告は以下のとおりです。
令和6年度テーマ「残留農薬 最近の動向について」
議題 「残留農薬 最近の動向について」
猪飼委員長より「残留農薬 最近の動向について」をテーマに、パワーポイントを使って、農薬の問題、農薬の現状と必要性、農薬の変遷、農薬に関する日本と世界の比較などについて情報提供された。
1.情報提供の内容
農薬は、虫害や病気の予防及び治療、長期保存(ポストハーベスト農薬)、農作物の安定供給などを目的として使用されている。
19世紀末から病害虫や雑草を減らすために天然物(除虫菊、ニコチンなど)を使用していたが、第二次大戦後には有機塩素系農薬の使用が始まった。しかしこの農薬は悪影響があることが判明したが、自然界で分解されないため、現在でも世界中で汚染されている状態である。現在主に使用されている農薬は自然界に無毒化されるようにできている。
農薬には作物ごとに残留上限濃度が決められ、それを超える食品は流通できないように設定されている。
2006年からは「ポジティブリスト制度」という、残留を認める農薬、対象作物及び上限濃度を基準値として示す制度ができた。基準値が設定されていない農薬やリスト外の農薬には、ヒトの健康を損なう恐れのない農薬として、統一基準である0.01ppmが適用されるようになった。
農薬(殺虫剤)の変遷として、昔は有機塩素系農薬というヒトへの毒性が強いものが使用されていたが、現在は主にネオニコチノイド系農薬というヒトへの毒性が弱いものが、農薬のメインとなっている。
ネオニコチノイド系農薬は、ヒトや哺乳類、鳥類、爬虫類への毒性が低い反面、昆虫類への毒性が高いことに加え、植物への浸透性が高く、長期間効果が持続するため、使用量が増えている。
収穫後の農産物に使用されている殺虫剤や殺菌剤などの農薬のことをポストハーベストといい、これは作物を輸送・保存する際に虫やカビ等の繁殖を抑える目的で使用されている。日本では収穫後の作物は食品とみなされ、農薬の使用は不可能。しかし外国から日本へ輸入する際、栽培後に使われた基準値内に収まっている農薬と、栽培時に使われたものと区別できないという問題がある。
収穫の直前に使う除草剤などの農薬のことを、プレハーベスト農薬といい、農作物を収穫する前に、枯らすことでその場で乾燥が進み、収穫作業を効率的に行うことができる。プレハーベスト農薬の中で繁用される農薬はグリホサート(ラウンドアップ)である。
グリホサートについて、2015年、国際がん研究機関(IARC)は『グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)』に指定。一方で日本政府は2016年に、グリホサートは発がん性をはじめ、神経毒性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかったとの調査結果を発表している。
グリホサートの規制について、使用を禁止する国が増えつつあるが、日本は2017年12月に残留基準値を最大400倍緩和している。
2.主な意見交換の内容
ラウンドアップという除草剤を使用している人が多い印象がある。この除草剤は枯れるのが早いという印象があるが、昔のラウンドアップと違うのだろうか。
⇒当初のラウンドアップと現在のラウンドアップは違うものになっている。ラウンドアップは、初代のラウンドアップが特許切れになり、現在はホームセンター等において低価格で販売されている。その後、ラウンドアップは化学構造を変化させて、次世代のラウンドアップを販売している。
ポストハーベストについて、輸入されたものは、殺虫剤が栽培時に使用されたものか区別がつかないとあるが、詳しく教えていただきたい。
⇒殺虫剤、殺菌剤が基準値の範囲内に収まっている場合、栽培時に使用したか、収穫後に使用したか区別がつかない現状である。ポストハーベストに関して、作物を輸送・保存する際に虫やカビ等の繁殖を抑える目的で使用されているため、国産品の国内移動であれば、時間がかからないので使用する必要がないけれども、外国からの輸入となると期間がかかるため、使わざるを得ない状態である。
アメリカで小麦を栽培し、それを日本に輸入すると仮定すると、日本に輸入するものに対しては農薬をかけるが、自国(アメリカ)で食べる分に関しては農薬をかけていないのか。
⇒自国のものに対しても農薬をかけていると思われる。アメリカにおいても経済格差があり、オーガニック食品は高値であるが、裕福な家はそのようなオーガニック食品を食べている現状がある。
現在多く使用されているネオニコチノイド系農薬について、市場では農薬が使われているかどうか判断がつきにくいため、農薬について発信していく必要があると思った。
⇒ネオニコチノイド系農薬は、比較的新しい農薬であり、次世代への影響など、時間をかけて調べていく必要がある。
私たち消費者は、農薬は少ないほうが良いと思いがちであるが、農業従事者が減少している中、それを求めれば求めるほど負担は増加していく。国産のものを食べられることが理想であるとおっしゃっていたけれども、負担が増え、従事者が減少すると、国産品が食べられなくなってしまうようになるという矛盾が生じると思う。そのため、農薬、化学肥料を使用しているからとやみくもに怖がるのではなく、農薬を使っていても安全であることを伝えることが大切である。と同時に消費者が知る努力をすることも必要なのではないかと考えた。
⇒残留農薬については、様々な段階において抜き打ち検査を行い、そのうえで流通している。万が一、残留が発見された場合は、即刻の出荷停止処分や、その問題が解決するまで出荷停止処分などがあるため、安心して食べていただきたい。