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ハンセン病・HIV感染者等の人権
最終更新日:2015年1月30日
~感染症を正しく理解しましょう~
どんな病気であっても、その病気を理由に人権が損なわれることがあってはいけません。しかし、誤った知識や情報、過剰な恐怖心などから、感染症患者や元患者などに対して差別をしたり、偏見をもつことが問題となっています。
ハンセン病は、らい菌による慢性の感染症です。
感染力は非常に弱く、成人の場合、ほとんど感染することはありません。感染しても発病することは稀です。また、現在では、治療法も確立されており、早期に診断され、適切に治療されると後遺症もなく治癒します。しかし以前は、外見上の後遺症が残ることや伝染病あるいは遺伝病との思い込みから、恐ろしい不治の病と考えられ、「らい予防法」により強制隔離政策がとられるなど、患者はもちろんその家族までもが差別や偏見を受けてきました。
平成8(1996)年に、「らい予防法」が廃止され、強制隔離政策が終結しましたが、その後も患者や感染者に対する偏見や差別は解消されませんでした。平成13(2001)年には、隔離政策が不当であったことが熊本地方裁判所の判決で明らかにされましたが、療養所入所者の多くは、病気が治ったにもかかわらず、これまでの長期間にわたる隔離により、家族や親類との関係を絶たれ、また、入所者自身の高齢化、後遺症、偏見や差別などのために、社会復帰が困難な状態にあります。
HIV感染症は、進行性の免疫機能障がいを特徴とする疾患で、HIVによって引き起こされる免疫不全症候群のことを特にエイズといいます。HIVの感染経路は限られており、日常的な接触では感染しないことがわかっています。
近年、抗HIV薬の投与でエイズ発病を抑えることが可能になるなど、HIV感染症の治療は非常に進歩しました。しかしながら、HIV感染者等に対しては、誤った知識や理解不足によりマイナスイメージが形成され、依然、差別や偏見が存在しています。
最近では、ハンセン病やHIV感染症以外でもさまざまな感染症がマスコミで取り上げられ、感染症に対する関心は社会的に高まってきています。感染症に対する正しい知識を身につけ、病気によって患者やその家族が差別や偏見を受けることがない社会を築くことが今後ますます重要になってきます。