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令和6年度施政方針
最終更新日:2024年3月6日
令和6年度施政方針
令和6年第1回津島市議会定例会の開会において、市政運営に対する所信を表明するとともに、主要施策等についての説明を行いました。
全文は、以下からダウンロードできます。
はじめに
令和6年第1回津島市議会定例会の開会に当たり、市政運営に対する所信を申し上げますとともに、当初予算の大綱につきまして、ご説明をさせていただきます。
市民の皆様からの厚いご信任を賜り、市長3期目の職務に就かせていただき、任期の半ばである2年が経過しようとしております。市民の皆様からお寄せいただきました信頼とご期待にお応えするため、私のマニフェストとしてお示しさせていただきました「つしま成長戦略 第3弾」に掲げた取組を加速させていくことが、私に課せられた使命であり、決意を持って「魅力マシマシ津島市」をキーワードに、津島市のさらなる発展に全力を尽くして、取り組んでまいる所存であります。
市議会議員の皆様、並びに市民の皆様におかれましても、津島市の発展のため、ご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
さて、1月1日午後4時10分頃に、石川県能登地方でマグニチュード7.6、最大震度7の地震が発生しました。この度の地震で、お亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。
本市におきましては、発生日の夜に消防職員が第1次緊急消防援助隊として被災地支援に向かい、その後も随時出動したほか、津島市民病院の医師・看護師・薬剤師・臨床工学技士がチームを組み、津島市民病院災害派遣医療チームDMAT隊として、能登総合病院に向かい、被災者の皆様に寄り添った活動を行っております。被災地への支援につきましては、主に愛知県が被災地のニーズを踏まえ調整を行っており、本市においては、被災地への職員の派遣や市営住宅の提供、ライフラインが途絶えている高齢者施設入所者の受け入れなど、速やかに対応をしております。
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行となり、経済活動の正常化が進み、以前の活力ある暮らしが戻りつつあります。市民病院においては、院長を始めとする医師、看護師などの医療職、事務職も含めて職員一同が一丸となって新型コロナウイルス感染症に対応してまいりました。今後も市民の皆様の命と健康を守る要としての役割を果たしてまいります。
一方、物価高が続いている中、厳しい状況に置かれている市民の皆様や事業者の皆様に支援をお届けするため、令和2年度から実施してまいりました新型コロナウイルス感染症対策を含めた物価高騰支援のための事業として、令和5年度に実施いたしました小中学校給食費及び保育所・幼稚園・認定こども園等の副食費無償化をはじめ、これまでに第1弾から第16弾まで177事業、総額約129億円の事業に取り組んでまいりました。これらの事業は、市民の皆様や事業者の皆様に寄り添って、しっかりと支援を行うものであり、大きな成果があったと考えております。
本市の財政状況は、私が市政を引き継いだ10年前、非常に厳しいものでした。そのため、財政を健全化させるべく、事務事業の徹底的な見直しなどによる歳出の削減、様々な形での歳入の確保など、徹底的な行財政改革を行ってまいりました。その結果、平成26年度から令和4年度までの9年間における行財政改革の効果額は、約91億3,000万円となり、市の財務体質は大きく改善いたしました。
市の貯金にあたる財政調整基金の残高は、平成25年度末時点では15億9,800万円でしたが、令和4年度末では約45億円と29億200万円増加、率にして約2.8倍にすることができました。令和4年度末の市民一人あたりの残高は、約7万4,000円となり、これは名古屋市を除く県内37市中7位と、トップクラスの順位です。
株式会社東洋経済新報社が公表しております都市データパック2023年版によりますと、津島市の財政健全度ランキングは全国792市区中195位となり、全国で上位4分の1に入りました。
市の実質的な借金にあたる臨時財政対策債を除いた市債残高につきましては、ピーク時の平成11年度末には約219億円でしたが、令和4年度末では、約59億円と約160億円減少、率にして約27%、約4分の1に減少させることができました。これにより令和4年度末の市債残高は、名古屋市を除く県内37市中4番目に少ない額となりました。文字通り借金が減り貯金が増え、財政の健全化が達成されました。
市民病院の経営安定化につきましても、市民病院が海部医療圏の医療を守る要となる中核病院としての役割を果たすとともに、市民の皆様から信頼され続けられるように、安定的な地域医療の推進を目指し、経営改善の取組を進めてまいりました。その結果、平成29年度から6期連続で経常収支黒字化を達成するとともに、平成28年度末に19億円あった一時借入金を解消することができました。借金にあたる企業債残高に関しても、ピーク時の平成17年度末には約161億円でしたが、令和4年度末では、約67億円と約94億円減少、率にして約42%に減少させることができました。
このように財政の健全化と市民病院の経営安定化を図ってきたことにより、市の財務体質は大きく改善し、津島市が次なるステップへ進むための準備ができました。そして、令和5年度は「まちづくり再生と子育て支援 2大プロジェクト」を進めてまいりました。
1つ目のまちづくり再生として、正面玄関である津島駅周辺の暮らしの質を高める「津島Next Move!」事業や、北の玄関口となる青塚駅周辺の整備計画、天王川公園の野外ステージの整備などのまちづくりへの成長投資を進めております。2つ目の子育て支援として、子どもが産まれる前から産み育てるまで、丸ごと応援する全国トップクラスの「子育て支援トータルプラン」などの子育て支援策を実施いたしました。市民の皆様から「天王川公園がリニューアルされて芝生広場で子どもたちも伸び伸びと遊べてうれしい」「学校給食費の無償化はとてもありがたい」など、多くの喜びの声をいただいております。
令和6年度は、次へのステップ第2弾として、「まちづくり再生」につきましては、津島神社周辺の新たな賑わい拠点、観光交流センター周辺の新たな交流拠点の供用開始に向け、賑わいの「核」となる拠点の整備がいよいよ動き出します。本市の「価値」を高め、わくわくするまちづくりを進めてまいります。
「子育て支援」につきましては、第2子以降の保育料の完全無料化、3歳から5歳児までの保育所・幼稚園・認定こども園等の副食費の半額補助及び市立小中学校の給食費の完全無償化、0歳児を対象としてご希望の子育て用品を無料で自宅にお届けする「子育てサポート選べる無料定期便」など、全国トップクラスの子育て支援を引き続き展開し、安心して出産、子育てができる環境づくりを進めてまいります。
そして、この2大プロジェクトを牽引し、定住を促進させる新規事業を実施いたします。事業の内容としましては、後ほど詳しくご説明いたしますが、津島駅周辺の旧津島エリア、地区計画区域の神守、唐臼エリアにおいて新築住宅を取得した方やリフォームをした方に要件に応じて補助金を交付するもので、本市への定住を促進させ、人を呼び込むまちづくりを目指してまいります。
昨年、ハラスメントや不適切発言のない働きやすい職場を築いていくため、過去10年間にわたる実態調査として、職場環境改善のためのアンケート調査を実施いたしました。第三者委員会からいただいた最終報告書の、研修の実施、弁護士による相談窓口の創設などを含む7つの提言に、専門家の支援を受けながら、しっかりと着実に対応し、ハラスメントのない職場の環境改善に取り組んでまいります。
令和6年度に実施する主な施策について、「つしま成長戦略 第3弾」として掲げている5つの項目ごとにご説明いたします。
子ども・子育て応援都市、つしま
まず、「つしま成長戦略」の1点目、「子ども・子育て応援都市、つしま」についてご説明申し上げます。
未来を担う子どもたちは、本市の「宝」です。子どもたちの健やかな育成を図り、「子育てするなら、つしま」の実現に向けて邁進してまいります。そのため令和5年度より、子どもが産まれる前から産み育てるまで、丸ごと支援を行う「子育て支援トータルプラン」として、5つの子育て支援策を実施しております。
1つ目の支援は、18歳まで所得制限なしの子ども医療費完全無料化の継続。2つ目の支援は、第2子以降の保育料も所得制限なしの完全無料化。3つ目の支援は、3歳から5歳児までの保育所・幼稚園・認定こども園等の副食費の半額補助及び市立小中学校の給食費の無償化。4つ目の支援は、0歳児を対象としてご希望の子育て用品を無料で自宅にお届けする「選べる無料定期便」。5つ目の支援は、保育所・認定こども園等における使用済み紙おむつの保護者持ち帰りの廃止です。
3つ目の保育所・幼稚園・認定こども園等の副食費及び市立小中学校の給食費につきましては、昨年4月から6月までは半額を無償化し、7月から本年3月までは、物価高騰の影響を受けている子育て家庭を支援するため、完全無償化に拡大いたしました。市立小中学校の給食費につきましては、令和6年度につきましても、完全無償化を継続いたします。
これらの5つの子育て支援のほか、年齢期に応じた様々な支援を実施しております「こんにちは赤ちゃん訪問」では、子育てを応援するため、「おめでとう」の気持ちを込めて、生後2か月を迎える赤ちゃんのいる全てのご家庭を訪問しており、大変好評をいただいております。これらの支援は、令和6年度も継続してまいります。
また、令和6年度より、「こども家庭センター」を総合保健福祉センターの2階に開設し、母子保健と児童福祉の機能を一体的に運営することで、両部門が連携・協働を深め、切れ目のない支援を行うための相談体制を強化いたします。さらに相談支援だけでなく、支援を必要とされる全ての子どもたちや妊産婦の皆様等へのサポートプランの作成、多様な家庭環境への支援体制を充実・強化するための地域資源の開拓なども担ってまいります。
このような子育て家庭に寄り添った手厚い支援は、まさに日本一の支援であると自負しております。
子育てに関する情報を提供しております子育て情報アプリにつきましても、昨年7月にリニューアルし、子育ての記録を保存したり、予防接種やイベントなどの情報がプッシュ通知で届いたりと、これまで以上に使いやすくなりました。今後も子育て情報を充実してまいります。
同じく昨年7月には、こども家庭庁が推進する、子どもたちが健やかで幸せに成長できるような社会を実現する「こどもまんなか宣言」の趣旨に共感・賛同し、「こどもまんなか応援サポーター」として活動することを宣言いたしました。そして、市の子育て施策を積極的にPRするために、「子育て応援キャラクター」を募集いたしました。このキャラクターを使用しながら、子どもとともに幸せに暮らすことができるまちの実現を目指してまいります。
教育に関しましては、「豊かな人間性と、よりよく生きる力を身につけた人(津島っ子)」を育成するため、確かな学力、健康・体力、豊かな人間性のバランスのとれた力を育む特色ある教育を推進しております。
令和4年度には、日本初となる規模で、プログラミング可能な人型ロボットやブロックを市内全ての小中学校に導入し、児童・生徒が楽しみながら役に立つプログラミング学習を実施しております。「津島・プログラミング・プロジェクト」の頭文字をとった「TPP」と称して、昨年8月には市内4中学校対抗で、「TPPコンテスト プレ大会」を開催いたしました。各学校とも仲間と協力しながら創意工夫を凝らしたプログラムが構成されておりました。令和6年度には、市内全ての小中学校参加による本大会を開催する予定をしており、今から大変楽しみにしております。
全ての小中学校に設置をしておりますコミュニティ・スクールでは、学校・家庭・地域が一体となって、地域ぐるみで子どもの成長を見守る体制を推進しております。中学校で実施しております学習支援「未来塾」につきましては、順次、中学校において実施されており、引き続き、未来に生きる子どものために、地域総がかりで子どもたちを育てる環境を築いてまいります。
今後ますますグローバル化が進む社会の中で、重要となる子どもたちの国際理解教育につきましては、全ての小学校において、県内にある8つ全ての領事館と連携した「領事館交流プロジェクト」を市独自の施策として実施しております。令和5年度は、日本との国交150周年を記念して、ペルーの学校と約14時間の時差を超えてオンラインでの交流を行うなど、各学校趣向を凝らした様々な取組を行っております。今後もより一層の国際理解を図るとともに、国際人として未来に飛躍する人材育成を目指して取り組んでまいります。
近年、全国的に増加傾向である不登校の児童・生徒に対する支援といたしましては、拠点となる津島市教育支援センターを、生涯学習センター内と児童科学館内の2か所に設置し、多様な価値観の中で、子どもたちの様々な学びの場や、安心して過ごすことができる居場所となるよう、個別学習や相談などを行っております。また、校内教育支援センター「ほっとルーム」は、令和4年度に神守中学校、令和5年度に藤浪中学校、令和6年度には天王中学校と暁中学校で開室し、4中学校全てにおいて開室してまいります。これにより、これまで教育支援センターに通室していた生徒も、学校に登校するきっかけとなり、友達などとのコミュニケーションが取りやすくなるほか、学校行事への参加なども可能となるものと考えております。
経済的な理由により、お子さんを小・中学校へ就学させるのにお困りのご家庭に対しましては、学用品費や給食費などの費用の一部を援助する就学援助費の受給要件を拡大し、支援の充実を図ります。家庭の経済的な状況によって学習の機会に差が出ることのないような学習支援も実施いたします。
学校教育環境につきましては、これまで全ての小中学校の普通教室などへのエアコン設置、トイレの洋式化、県内初となる体育館へのスポットエアコンの整備などを行っており、現在、学校施設の長寿命化改修に取り組んでおります。令和5年度には、神守中学校と蛭間小学校の体育館の長寿命化改修を行い、令和6年度には、神島田小学校体育館の改修と、高台寺小学校体育館の改修に向けた実施設計を行うほか、天王中学校に自転車置き場を設置します。子どもたちが安全・安心な学校生活を送ることができるよう、計画的に整備を行ってまいります。
また、働いているなどの理由により、保護者が昼間不在となる家庭の子どもたちが放課後や長期の休み中に、安全で楽しく過ごすための遊びや生活の場となる学童保育につきまして、8つ全ての小学校区にこどもの家を設置しております。
平成29年度には西小学校、平成30年度には北小学校の敷地内にこどもの家を新築し、令和4年度には、学校から遠方の位置にあった神守こどもの家を神守小学校敷地内に新築いたしました。令和6年度は、私が4か所目に手がける南こどもの家の新築に向けての実施設計業務を進めるなど、今後も学童保育のさらなる環境の充実を積極的に推進してまいります。
子どもたちの健康・体力を向上させる取組といたしましては、これまで実施しておりました「総合的な子どもの基礎体力向上大作戦」、通称SKIP(スキップ)を発展させ、令和4年度から小中学校において、縄跳び名人を講師として招いた縄跳び教室や、サーキットトレーニング教室を実施しております。未来の担い手としてたくましく生き抜くために、必要な健康と体力をつけることを目指します。
健康・体力のもととなる学校給食につきましては、平成27年度から、「津島市給食献立コンクール」を実施し、児童生徒の考えた献立を給食に取り入れております。子どもたちに安全・安心な食を提供するため、有機農産物を使用したオーガニック給食につきましても、段階的に導入を進めており、子どもたちに笑顔で給食を食べてもらえるよう、栄養バランスに優れた心のこもった美味しい学校給食を提供してまいります。
少子化対策として、若者に出会いの機会を提供するため、尾張津島天王祭宵祭開催日に、県内在住または在勤の独身者を対象に、「天王祭deご縁結び」を開催する予定をしております。
多くの学生が奨学金を受給し、就職後、返還している状況の中で、企業が従業員への奨学金返還支援制度を導入することは、学生が企業選びをする際の大きなポイントとなります。このため愛知県では、令和6年度から中小企業の人材確保を図ることを目的に、従業員の奨学金返還を支援する中小企業を対象に補助制度を創設いたします。対象とする中小企業等は、県への企業登録が必要でありますので、市といたしましても市内中小企業等に積極的に働きかけてまいります。
防災・減災モデル都市、つしま
次に、「つしま成長戦略」の2点目、「防災・減災モデル都市、つしま」についてご説明申し上げます。
この地域は、高い確率でマグニチュード8~9クラスの巨大地震が発生することが予測され、地震による甚大な被害が発生することが予想されております。また、近年、全国各地で大雨による被害も頻発している中、市民の皆様を誰一人として取り残すことのないよう、防災・減災対策を行う必要があります。
災害時には、自助・共助・公助の3つが必要となります。大規模災害時には、救援物資が届くまでに時間を要することから、自分の命は自分で守ることができるよう、日頃から7日分程度の食料や、資機材などの備蓄といった「自助」の取組をお願いいたします。能登半島地震では倒壊した家屋の下敷きになった方が犠牲者の大半を占めることが判明しました。市では地震から身を守るために、住宅の無料耐震診断や住宅の耐震改修への補助を行っております。令和6年度は耐震診断に関する予算を5割増しにするとともに、耐震改修の補助金を100万円から150万円に大幅に拡充するなど、耐震改修や除却に関する予算を2.7倍にし、市民の皆様の安全を守ってまいります。また、災害時に備え、窓ガラスが割れた際の破片の飛び散りを防ぐための飛散防止フィルムの貼り付けや、家具の転倒防止金具の取り付けを無償で行っております。ご自身の命を守るため、まだ対策がお済みでない場合は、是非ご利用ください。
市では、毎月第3日曜日を「家庭防災の日」と定め、防災教室を定期的に開催し、家庭において防災について話し合うことを進めています。避難経路や備蓄品の確認、家庭でできる対策などについて話し合い、防災意識を高めるきっかけとしていただきますようお願いいたします。
災害が起こった際、ご自身の力だけでは避難所へ避難することが困難な方々につきましては、一人ひとりに対して個別避難計画を作成し、地域で活用することで取り残すことなく、人的被害を最小限にとどめられるよう、地域で支援する「共助」の体制の確立に全力を尽くしてまいります。
災害時にうろたえることなく行動するためには、平時から訓練をしておく必要があります。自主防災組織をはじめ、様々な主体と協働して防災訓練を実施いたします。訓練には、ゲーム形式も取り入れながら、いざという時にきちんと実践できるような内容としてまいりますので、積極的なご参加をお願いいたします。
なお、自主防災組織は、地域の防災において、大変重要な役割を担っております。近年の物価高騰の状況等をふまえ、各小学校区の自主防災組織の体制強化のため、令和6年度より補助金を増額いたします。さらに自主防災組織や町内会に所属する防災関連委員の皆様が、万が一活動中に怪我をしてしまったときなどに備えて、市の負担で傷害保険及び損害賠償保険に加入することで、より安心して活動していただくことができます。
「自助」・「共助」に加え、市では「公助」といたしまして、災害時における飲料水の確保のため、平成26年度から水道管の耐震化を実施しております。これまでに災害時に避難所となる、東小学校・西小学校・南小学校・北小学校・神守中学校・神守小学校をはじめ、災害時の重要施設である市役所、市民病院などへの水道管の耐震化に対し、20億円を超える投資を行ってまいりました。配水場から離れた地域である神島田小学校、高台寺小学校、蛭間小学校には約3億円を投資して耐震性貯水槽を設置いたしました。令和6年度には、南小学校と神守小学校への設置工事を実施すると同時に、令和7年度、東小学校、西小学校への設置に向け実施設計を進め、北小学校においては、文化会館に設置されている100トンの貯水槽を活用いたします。今後も引き続き全ての小中学校への設置に向けて計画的に進めてまいります。
また、災害が発生した際の避難所での生活のため、避難所用の資機材を市で備蓄しております。寒い時期の避難に備え、毛布や新たに簡易寝袋も備蓄して寒さ対策を強化いたします。大切な家族の一員であるペットも一緒に避難することができるよう、公共施設のうち1か所をペットとの同室避難所とするほか、指定避難所である8小学校でも、ペットと同行避難をされることを想定し、ケージやワンタッチテントなどの資機材を整備いたします。
自宅から指定避難所まで離れていることや、普段行き慣れない避難所へ行くことへの不安を解消するため、県内初の取組として、民間施設を緊急避難場所として活用し、緊急時に速やかに避難できる体制を強化してまいります。
市役所本庁舎につきましては、災害時には災害対策本部として機能させる必要があることから、耐震化を実施したほか、非常用の電源設備の整備を行ってまいりました。災害時の重要な施設である消防庁舎や、避難所としても重要な錬成館をはじめ、主な公共施設についても耐震化を実施してまいりました。
災害対策本部においては、市民の皆様の命を守るため、国・県・市が保有する情報を一元化する必要があることから、様々な情報を一元的に可視化できる防災支援システムを令和4年度に構築いたしました。このシステムを地域の自主防災組織と連携しながら活用していくことで、地域の減災に結び付けてまいりたいと考えております。また、災害情報を市民の皆様にお知らせするため、災害時の緊急情報、避難所の開設状況、道路の冠水状況の情報などを見ることができる防災情報専用サイト「つしま防災ポータル まもるくん」を新設いたしました。スマートフォンからでも閲覧できますので、是非ご活用ください。
令和6年度より、75歳以上の高齢者等、災害弱者の方々のうち、希望される方に対しては、緊急時に防災情報が流れる専用ラジオを無償で貸し出す事業を開始いたします。防災情報を受信すると自動的に電源が入るものであり、情報をいち早く市民の皆様が受けとっていただくことが可能となります。
市では、災害時の情報収集にドローンの活用も進めております。災害現場に行くことができない場合でも、ドローンを飛行させて映像を撮影し、その映像を災害対策本部で確認することができることから、ドローン人材20名の育成を目指し、令和4年度から市職員のドローン操縦資格取得に取り組んでおります。
災害時に避難場所として利用できる場を確保するため、現在、神守地区において、都市公園の整備を行っております。神守小学校北エリアに約2,500㎡、神守こども園西エリアに約1,800㎡の広さの2つの公園につきましては、マンホールトイレ、東屋を設置し、まもなく完成いたします。さらに神守支所東エリアにも、約2,200㎡の広さの3つ目の公園を整備するため、令和6年度から着工いたします。今後はさらに神守中学校南エリアに約4,500㎡の広さの4つ目の公園整備を進めてまいります。
消防本部では、市民の皆様の命を守るため、防災力の強化を図っております。本市の消防本部は、市域のほぼ中央に位置しております。日光川東側の一部の地域においては、救急車の現場到着までの時間が課題となっておりました。そのため、交通量が多い平日昼間帯に、神守支所に救急車を待機させる救急ステーションの実証運用を、昨年8月から本年3月22日まで行っております。実際に救急車の到着時間が短縮するなどの効果が出ており、地元の方からも好評いただいておりますので、引き続き運用を進めてまいります。
他の消防本部との連携・協力も進めており、海部地域の消防本部とは合同訓練や勉強会を開催しております。令和7年度からは津島市ほか名古屋市を含む7消防本部と指令業務の共同運用を開始します。これにより、消防力の強化による住民サービスの向上が期待できます。また、愛西市とは、はしご車の共同整備についても進めており、実現すれば県内初の試みとなります。
地域防災に欠かすことのできない消防団につきましては、消防団員の訓練のための出動報酬を増額し、新たな団員の確保に向けて充実を図るとともに、神島田分団車庫の新築移転に向けての準備を進めてまいります。
このように、市民の皆様一人ひとりに寄り添った防災対策を行ってまいります。
地域の特性を活かした交流都市、つしま
次に、「つしま成長戦略」の3点目、「地域の特性を活かした交流都市、つしま」についてご説明申し上げます。
本市は、津島神社や数多くの寺院、歴史的な町並み、ユネスコ無形文化遺産に登録された「尾張津島天王祭の車楽舟行事」をはじめとする四季折々の祭りをはじめ、市内各所に伝承されている祭り、そして市民の皆様に愛されている天王川公園や津島神社など、誇るべき数多くの地域資源が市内全域にあります。これらは他の自治体にはない本市の大きな強みであります。
このような歴史的・文化的な遺産を、地域総がかりで継承していくため、文化財保存活用地域計画の策定に着手いたします。尾張津島天王祭などの大規模な祭りだけではなく、市内各地域の山車や神楽、市民の皆様の生活の中に息づく文化など、地域ごとに調査を実施して掘り起こしを行い、保存・活用に向けて検討してまいります。
市の指定文化財である氷室作太夫家住居につきましても、貴重な文化財を後世に引き継ぐため、保存と活用に関する方針を定める保存活用計画を策定してまいります。
本市において祭りは誇るべきものであります。祭りを今後も維持するとともに、体制を強化するため、尾張津島天王祭及び尾張津島秋まつりの関係団体に対する報償費を増額し、活動を支援いたします。
本市にゆかりがある世界的な芸術家である横井照子さんは、本年で生誕100周年を迎えます。その節目となる年に、その偉業を顕彰するとともに、本市の文化振興に向けた機運を醸成するため、本年11月に横井照子展を開催いたします。数多くの素晴らしい芸術作品に触れることができますので、是非楽しみにしてください。
本市は、東海三県寺密度ナンバーワンであることを活かして、平成30年度より御朱印イベント「津島てら・まち御縁結び」を開催し、令和6年秋に第20回目を迎えます。これを記念して、「第20回津島てら・まち御縁結び記念事業」を実施し、本市の魅力向上を図ります。
こういった本市の魅力を、より多くの方に知っていただくため、プロモーションにも力を入れております。ふるさと津島応援広報大使である津島市出身の神野大地選手には、本市の魅力をSNS等で広く発信していただいております。
令和5年度には、市の公式LINEの機能を拡大し、情報を伝えたいターゲットに対して、それぞれのニーズにマッチした情報を配信するセグメント配信を行うことで、効果的な情報発信を行っております。また、愛知大学や津島東高校と連携し、「津島の魅力PRデザイン開発プロジェクト」として、PR用ステッカーのデザイン制作を行っているほか、副業人材を活用し、PRちらしのデザイン力を高めるとともに、津島の魅力を広く動画配信しております。今後も本市の「価値」をさらに高めるため、「魅力マシマシ津島市」を積極的に発信してまいります。
ふるさと納税の返礼品においても、地場産業の活性化と地元特産品のPRのため、全国に向けて積極的に発信しております。特に、あらかじめ蓄電ができ、災害時等の備えとして役立つポータブル電源は大変好評であり、昨年12月に新たな返礼品として加えた結果、12月のみで約5,400万円のご寄附をいただいております。今後もより一層の返礼品の充実のため、様々な工夫を凝らしながら取り組んでまいります。
市が実施する地方創生プロジェクトに対して企業から寄附をいただく企業版ふるさと納税につきましても、複数の企業から多額のご寄附をいただき、子育てや文化の継承、公園の整備など、様々な分野で活用しております。さらなる寄附をいただけるよう、引き続き企業に対して積極的に働きかけを行ってまいります。
地域におきましては、交通安全や防犯、福祉など、様々な課題解決に向けて取り組んでいただいておりますコミュニティ推進協議会等に対する補助金を増額し、活動を支援いたします。
地域経済が活性化する発展都市、つしま
次に、「つしま成長戦略」の4点目、「地域経済が活性化する発展都市、つしま」についてご説明申し上げます。
令和3年12月に策定いたしました都市計画マスタープランでは、将来に向けたまちづくり戦略として、津島駅周辺を正面玄関として位置づけるとともに、市内の東西南北を玄関として位置づけました。
昨年3月には、本市と名古屋鉄道株式会社、UR都市機構の三者で、県内初となる地域の持続的発展を目的に、鉄道と連携したまちづくりを進めていく包括連携協定を締結しました。名古屋鉄道株式会社とは、これまでも「つしまちあるきキャンペーン」など、本市の観光面でも協力を頂いているほか、UR都市機構を含めた三者では、津島駅周辺でのマチナカの再生に向けた社会実験でも協働の立場でご参画いただいています。この三者で同じまちづくりへのベクトルを共有し、さらに進んだ未来に繋がる事業を展開してまいります。それに向け、令和5年度は、まちづくり再生元年と位置付け、津島玄関まちづくり構想「ゲートウェイプロジェクト」の推進のため、津島市の「価値」を高める成長投資を行いました。さらに令和6年度では、次へのステップ「まちづくり再生」第2弾として、プロジェクト推進のための取組を加速してまいります。
津島駅周辺の正面玄関におきましては、駅の東側に駅前広場・市民の交流広場を整備するため、用地買収を行ってまいります。
津島神社周辺におきましては、「尾張津島観光センター」と「旧わざ・語り・伝承の館」の解体を進め、令和7年度までに官民連携による新たな賑わい拠点の整備を進めます。
津島駅と津島神社を結ぶ天王通りにおきましては、無電柱化に向け、愛知県との調整を継続するほか、観光交流センターや旧いちい信用金庫天王通支店などを活用し、シビックプライド醸成拠点や、まちなか交流広場の整備に向けた準備を進めているところです。市が投資主体として、マチナカの再生に関する各種事業を着実に進めることで、民間による宅地開発の増加や店舗や医療などの都市機能の開発も促進されるものとなります。そのためには、市としても定住を促進させる新規事業として人口の増加策も含めて、暮らしの質や賑わいあるマチナカを実現していきます。本年3月には、古民家や空きスペースなどを展示会場としたアート展を開催いたします。様々なアーティスト作品の鑑賞のほか、体験型のワークショップもあり、津島の魅力を五感で体感することができます。
天王川公園におきましては、昨年4月よりパークPFIによる民間事業者の管理・運営が始まりました。昨年7月には、津島市に本社を置く株式会社宇佐美鉱油様及びグループ企業様から多額のご寄附をいただき、野外ステージやジョギングコースの整備が完了いたしました。同じく昨年7月にオープンしたスターバックスコーヒーも含め、市民の皆様から「天王川公園で、家族でのんびり過ごすことができ、公園の魅力がアップした」、「若者が多く訪れるようになり、生まれ変わった」など、多くの喜びの声をいただいております。
令和6年度は、多くの公園利用者に喜んでいただいている芝生広場を拡張する整備事業のほか、中央トイレや北エリアのトイレの大規模修繕を行い、さらに快適な公園となるよう整備を進めてまいります。また、地球温暖化の影響を受け、夏場では夜間にウォーキングなど、健康づくりを行う公園利用者が増えてきています。春夏秋冬を含め、公園の魅力を高めるための「ライトアップ大作戦」を展開し、引き続き市民の皆様に愛される公園として整備を進めてまいります。このほか天王川公園や津島神社へのアクセス向上として、都市計画道路である橋詰又吉線の整備も推進してまいります。
東西南北それぞれの玄関におきましても、「価値」を高めるための取組を進めております。北の玄関である青塚駅周辺では、駅へのメインとなる県道蜂須賀白浜線の歩道整備の早期事業化に向けて、愛知県に力強く要望を進めていくほか、地域住民の方と対話をしながら、駅前広場の設置や住宅などが建設できる土地利用構想を進め、駅に近い立地を活かしたまちづくりを進めていきます。今後、まちづくりに必要な下水道や道路等の整備に向けた具体的な検討を行ってまいります。東の玄関では、2027年に西尾張中央道まで開通予定であります名古屋津島線バイパスの整備に合わせ、生涯学習センターと東公園一帯を、スポーツと健康をキーワードに、広域的な玄関にふさわしい位置づけをし、魅力向上を目指してまいります。西の玄関では、検討されている木曽川・長良川新架橋の整備促進に向け、国や県に対して積極的に働きかけを行ってまいります。
本市では、令和2年3月に「津島市歴史的風致維持向上計画」を策定し、本市固有の歴史的風致を守り、育て、継承し、地域の活性化につなげることを目指しております。さらに次のステップとして、歴史的風致である景観を計画的かつ確実性をもって保全するため、景観計画の策定に着手いたしました。良好な景観形成により、調和がとれた町並みを目指してまいります。
企業誘致の状況につきましては、これまで、宇治・白浜・鹿伏兎の3区域約21万㎡に工場等の立地を誘導する区域を指定し、企業誘致を積極的に推進した結果、区域の約8割に企業を誘致することに成功しました。引き続き企業誘致を進めるため、昨年10月に越津・下切区域約18万㎡、本年1月に下新田・大縄区域約3万㎡を区域に追加いたしました。今後、新たな区域の追加も検討しながら、より一層精力的に企業誘致を推進してまいります。
令和6年度は、新たな企業誘致推進区域となる周辺の歩行者の安全環境を確保していくために、宇治百町線と神尾金柳線の歩道整備を進めていく予算を計上いたしました。
神守中町・神守下町及び唐臼地区におきましては、建ぺい率と容積率など建物の規制を緩和し、約68万㎡をこれまで建築できなかった建物が建築できるようになることで、土地利用の促進を図ってまいりました。今議会には、さらに中地地区約4万㎡において規制緩和を行うための条例改正に関する議案を提出しております。今後は、愛宕地区約7万㎡においても規制緩和に向けて進めてまいります。
先ほど2大プロジェクトを牽引し、定住を促進させる事業の内容を申し上げました。具体的にはこれまで神守・唐臼地区で実施しておりました居住用の新築住宅取得に対する最大100万円の補助制度を、大幅に拡充いたします。令和6年度からは、対象区域を居住誘導区域と、市内にある16団地に拡大いたします。対象者につきましても、これまでの新築住宅を取得された方だけでなく、中古住宅取得後にリフォームする方、中古住宅を賃貸後リフォームする方も対象といたします。市内にある団地では、高齢化や建物の老朽化が進んでおり、日光川東エリアの青塚団地、喜多神団地、葉苅団地、宇治団地、神守団地、みずほ団地、こがね団地、下切住宅、江南団地、百島団地、みどり台団地の11団地と、日光川西エリアの永宝団地、さかえ団地、上春日台団地、下春日台団地、東愛宕住宅の5団地の合計16団地の再生を、新しい居住誘導施策で積極的に推進してまいります。
補助金の加算要件につきましても、若年の子育て世帯が親世帯の近くに居住することを後押しするために、親世帯と同居・近居の場合の加算を設けるほか、地元事業者の活性化のために、市内の事業者が施工した場合にも、さらに加算をいたします。補助金額は、新築住宅を取得した場合や中古住宅を取得後リフォームした場合、最大150万円。中古住宅を賃貸後リフォームする場合、最大170万円となります。空き家対策のための空家解体促進費補助金に関しても、20万円から2.5倍の50万円に大幅に増額いたします。この補助金は新築住宅を取得した場合、併用ができ、最大200万円となります。本市に居住する大きな後押しとなり、さらなる定住促進につなげてまいります。
いつまでも健康で暮らす都市、つしま
次に、「つしま成長戦略」の5点目、「いつまでも健康で暮らす都市、つしま」についてご説明申し上げます。
津島市民病院は、この地域になくてはならない病院として、海部医療圏の医療を守る要となる中核病院としての役割を果たしております。私は設置者として、市民の皆様から信頼され続けるために取り組んでまいりました。新型コロナウイルスの感染が拡大した時期は、市民の皆様の健康な暮らしを守るために、医療従事者が最前線に立って対応しました。市民病院が今後も役割を果たしていくためには、経営の安定化を図ることが必要不可欠です。
冒頭にも申し上げました通り、市民病院の経営改善に取り組んできた結果、平成29年度から6期連続で経常収支黒字化を達成することができました。平成28年度末には約19億円あった一時借入金につきましても令和2年度に解消しております。
令和4年7月には、アフターコロナを見据えながら病院全体の課題を組織横断的にマネジメントするため、経営戦略部戦略企画室を設置しております。医師や看護師、事務職も一体となって、ポストコロナに対応しながら、積極的に経営強化を図っております。引き続き質の高い医療を提供していくため、市と病院が一体となって、安定的な運営を行ってまいります。
市民の皆様がいつまでも健康で暮らしていただくには、まずは一人ひとりの健康づくりが重要となります。そのため、市では「笑顔で健幸大作戦!」と銘打ち、スマートフォンのアプリを活用して、毎日の歩数の記録や、自分で決めた健康目標へのチャレンジなど、一人ひとりの健康習慣を応援しております。
昨年8月には、誰もが気軽に楽しく体を動かすアイデアを募集する「これってステップ?!コンテスト」を開催いたしました。ウォーキングの可能性を広げてステップを取り入れたアイデアなど、入賞アイデアは市内の様々なところで展開してまいります。現在、各小学校区別のウォーキングコース作成に向けて、市民の皆様と一緒になって検討しております。令和6年度には、各小学校区で完成したコースを巡るウォーキングイベントを実施してまいります。
健康増進には、スポーツも非常に有効です。市民の皆様が気軽に健康づくりや体力づくりが行えるよう、また、競技スポーツの技術向上につなげていくことなど、スポーツ環境の充実を図るため、現在、スポーツ推進計画の策定を進めております。さらに今後の東公園一帯の再整備に向けて、スポーツ施設整備方針の検討も行います。本年4月には、社会教育課内に東公園整備推進室を設置するとともに、東公園一帯の整備に関する業務推進のためのアドバイザーを招聘いたします。
スポーツを行うための環境整備として、葉苅スポーツの家及び生涯学習センターには、夏の暑い時期でも安心してスポーツを楽しんでいただくことができるよう、壁掛けタイプのスポットエアコンを整備いたします。さらに生涯学習センターにおいては、屋外運動場やオムニコートの全面的な改修も実施いたします。生涯を通じて気軽にスポーツに親しむことができるよう、引き続き生涯スポーツの推進を図ってまいります。
医療や介護が必要になった場合でも、できる限り住み慣れた地域や自宅で暮らし続けたいという願いを実現するため、市では住まい・予防・生活支援・医療・介護の5つの要素を一体的に提供する、地域包括ケアシステムの推進を図っております。海部医療圏の7市町村が共同し、本市の神守支所の1階に設置している「海部医療圏在宅医療・介護連携支援センター」において、在宅医療や介護サービスなど、関係機関の切れ目ない連携を行っております。
昨年12月に、本市と名古屋大学医学部附属病院において、「社会保障費の抑制を目指す共同研究プロジェクト」の開始に伴う締結式を行いました。この事業は、NHK、公共メディア、新聞など、マスコミにも全国ネットで取り上げられ、注目の事業となっております。本市の65歳以上の住民データから重症・重度化要因を特定し、その要因に対する介入プログラムを実施することで、社会保障費の抑制にもつなげようというプロジェクトであります。高齢者人口の増加による介護需要の増大と介護人材の不足が叫ばれる中、医療・介護のデータを分析・解析し、対策を講じていくことは、超高齢社会を迎える上でさらに重要となってまいります。今後も市民の皆様の健康が一番!「健康応援都市」を目指してまいります。
認知症の高齢者への支援といたしましては、令和5年度より、万が一他人に怪我を負わせてしまったり、他人のものを壊してしまったりしたときに備えて、認知症の方などを被保険者とする個人賠償責任保険に市の負担で加入いたしました。行方不明になる恐れのある高齢者に対しては、自宅に帰れなくなった際に早期発見、保護できるようQRコード付きのラベル・シールを配布いたしました。2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるとの予測もあり、認知症となっても安心して暮らすことができる環境を引き続き整えてまいります。
高齢者をはじめ、市民の皆様の安心を守るため、昨年の11月に、株式会社ottaと西尾張シーエーティーヴィ株式会社と「見守りサービスの推進に関する協定」を締結いたしました。見守りサービスは、無線システムである地域BWAを活用し、小さな見守り用端末を持っている児童が、市内のお店や企業などの見守りスポットの周辺を通過したり、見守りアプリを登録したスマートフォンなどとすれ違ったりすることで、見守り端末の位置を記録するものです。まずは市内の小学1年生から3年生の児童に見守り用の端末を無料で配布し、サービスを開始したところであります。市内全域における地域BWAの活用は県内初となります。今後、高齢者の皆様にも対象を拡大していくとともに、見守りだけでなく、観光やまちづくりの分野にも活用の範囲を広げてまいります。
ここ数年のコロナ禍においては、感染防止のために不要不急の外出自粛が求められ、その結果、地域活動の縮小や、人との交流の減少といった影響を及ぼしました。外出機会の減少は、身体機能や認知機能の低下が見られる「フレイル」の状態となる方を増加させる恐れがあります。そのため、高齢者の皆様が、総合保健福祉センター、生涯学習センター、神島田公民館を使用する際の使用料を半額にいたします。そして外出の機会を増やしていただくとともに、総合保健福祉センターにおいて交流することができる拠点整備を行うなど、社会参加の促進を図ってまいります。
高齢化が進む中、買い物や通院などにマイカーを使うことができない、あるいは今後使うことができなくなる75歳以上の高齢者、移動が困難な障がい者、妊産婦の皆様を対象として、外出時のタクシー料金が半額となる、「津島おでかけタクシー事業」を、昨年1月より開始いたしました。開始より1年が経過し、これまでの利用実績の累計は2万5,000件を超え、利用登録者数も3,200人を超えており、大変好評をいただいております。
障がいのある方への支援といたしましては、身体障がい、知的障がい、精神障がいに加えて、難病、発達障がい、強度行動障がい等、障がいのあるご本人やその家族の各種ニーズに対応できる総合的な相談支援や専門的な相談支援などを行う基幹相談支援センターを、総合保健福祉センターに設置いたします。
障がいのある児童への支援といたしましては、障がいのある児童やその家族への相談、障がい児を預かる施設への援助・助言などを行う地域の中核的な療育施設である児童発達支援センターの設置に向け、未利用となっております旧津島市立津島幼稚園の民間活用を進めてまいります。
ここまでは、「つしま成長戦略」として掲げた5つの項目に沿って説明してまいりました。このように、全ての市民の皆様が心身ともに満たされた状態である「ウェルビーイング」となることを目指して取り組んでまいります。
続きまして、この「つしま成長戦略」の推進と並行して進めていくべき内容についてご説明いたします。
まずは、市民サービスの向上につながるデジタル化です。社会が非常に速いスピードで変化していく中、デジタル技術を活用しながら従来の制度等を変革し、様々な課題を解決するデジタル・トランスフォーメーション「DX」を推進することが求められます。
本市では、デジタル技術を活用した窓口改革として、役所に「来ない」、書類を「書かない」、手続きを「待たせない」行政サービスの実現を目指しております。令和4年度には、住民票等のコンビニ交付、タブレット端末による申請システム、「出生コーナー」や「おくやみコーナー」での窓口ワンストップサービス、窓口のキャッシュレス化などを導入いたしました。「出生コーナー」や「おくやみコーナー」は、専用カウンターを設置して様々な部署で必要な各種手続きをワンストップで行うことができるため、大変好評をいただいております。令和6年度には、コンビニ交付の対象サービスに所得課税証明書・納税証明書を追加し、さらに市民サービスの充実を図ることにより、「デジタル化で、しあわせ実感都市、つしま」の実現を目指してまいります。
このようなデジタル技術の活用は、市民の皆様の利便性を向上させるだけでなく、職員の働き方改革にもつながります。令和6年度は、AIを活用した議事録作成支援システムを導入することで、効率化できる部分はデジタルに任せ、市民の皆様との対話や、新たに実施する事業の検討など、職員は職員にしかできない業務を担うことで、市民サービスのさらなる向上を図ってまいります。
他自治体との連携についても進めております。藤まつりにおける江南市や岐阜県羽島市との連携、ひつじサミット尾州における一宮市や岐阜県羽島市との連携、岐阜県海津市コミュニティバスの津島駅への乗り入れなど、自治体の枠を超えた連携・協力を推進してまいります。
市政運営を進める上で、最も重要なことは、市民の皆様の声を聞くことだと考えております。そのため、市民の皆様の声をお聞きする機会として、令和4年度と令和5年度にタウンミーティングを開催いたしました。令和4年度には、市内8つのコミュニティ推進協議会それぞれと、令和5年度には、市内で定期的に活動する団体を対象として15回開催いたしました。令和6年度につきましても私が自ら市政について市民の皆様にご説明する機会を設けます。是非ご参加ください。
市民の皆様が安心して暮らすためには、様々な人権課題が解消され、一人ひとりの人権が尊重されることが重要であります。人権啓発や地域住民の福祉の向上、交流の拠点施設である南文化センターは、建物及び設備の老朽化に対応するため、大規模改修工事を実施してまいります。今後も新たに生まれ変わる南文化センターにおいて、地域交流促進事業や生活上の相談事業の充実を図ってまいります。
また、産業廃棄物処理施設等を設置する際に、事業者と関係住民とのトラブルを防ぐための条例を制定してまいります。
職員の声を聞く場も設けております。令和4年度からは、若手・中堅職員との意見交換会を開催し、担当業務で日頃感じていること、将来の自分や市政運営に対する考え方などについて意見交換を行っております。今後も、職員の声に耳を傾け、風通しの良い職場環境づくりに取り組んでまいります。
職員が事務改善や施策等の提案を行うことができる職員提案制度につきましても、自分らしさや新しい視点を自ら取り入れて働き方を工夫する「ジョブ・クラフティング提案制度」として、令和5年度からリニューアルいたしました。「Go Beyond Yourself~昨日の自分を超えろ~」をキャッチフレーズとし、電子システムからの提案を導入したほか、職員投票や若手職員による審査委員会を設置するなど、より一層活用しやすい制度となり、令和5年度には、9件の提案がありました。職員の「Not Yet(まだできる)」の精神を育みながら、創造力や研究心、市政運営への参加意欲の向上を目指しております。
私たちは、私たちが暮らすこの地球の環境を守り、急速に進む地球温暖化に歯止めをかけることを考えなければなりません。本市では、これまでも地球温暖化対策として様々な取組を実施してまいりました。市役所本庁舎における省エネ効果の高い空調設備への改修。市民病院における空調用熱源の更新やLED照明等の導入。市が管理する全ての道路灯・公園灯の照明LED化。市内全ての小中学校の教室や体育館の照明LED化などを行ってまいりました。令和5年度には、本庁舎、生涯学習センターなど27施設の照明をLED化するとともに、総合保健福祉センターへの太陽光パネルと蓄電池の設置に向けた取組を開始いたしました。公用車につきましても、これまで保有している電動車5台に加え、令和5年度には2台の電気自動車を導入いたしました。令和6年度にはさらに6台の電気自動車を導入するなど計画的に更新を進め、2030年までには全ての公用車を電動車とすることを目指してまいります。町内会や自治会に対しましても、令和5年度より防犯灯の設置・更新にかかる補助の基数制限を撤廃し、LED化の促進を図っております。
そのような中、昨年7月に首長が気候変動・エネルギー政策に取り組むことを誓約し、具体的な取組を積極的に進めていく国際的な仕組みである「世界気候エネルギー首長誓約(世界首長誓約/日本)」の誓約書に、名古屋大学にて署名いたしました。今後、具体的な目標達成方策などに関する「気候エネルギー行動計画」を策定し、取組を推進してまいります。なお、本市を始めとする「世界首長誓約/日本」誓約団体と、「世界首長誓約/日本」事務局は、気候変動の緩和及び気候変動への適応に対する取組が評価され、昨年12月に「気候変動アクション環境大臣表彰」において大賞を受賞いたしました。
私たちは地球人です。地球の未来に責任を持たなければなりません。今後もこうした取組を着実に実行し、市民の皆様や事業者の皆様と力を合わせ、脱炭素型社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。そして、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロとすることを目指してまいります。
令和6年度当初予算案
ここからは、これらを実現していくために、今議会に提出いたしております令和6年度当初予算案につきまして、ご説明申し上げます。
まず、予算規模でありますが、一般会計258億円、特別会計133億4,868万8,000円、企業会計156億6,072万2,000円で、これら全会計を合せますと548億941万円となり、前年度の当初予算と比較しますと、一般会計は6.7%の増、特別会計は0.4%の増、企業会計は1.2%の増、全会計では3.5%の増となっております。一般会計の予算規模としましては、過去3番目で、文化会館の建設を行った平成7年度、8年度を除くと、最大の規模となります。
次に、一般会計の歳入でありますが、根幹を成す市税収入は、83億3,371万2,000円で、物価高対策として個人住民税の定額減税を行うことから、前年度比1.9%の減となっておりますが、定額減税による減収額を除いた本来の市税収入としては、前年度比0.5%の増と、コロナ禍からの回復基調が続いております。また、地方交付税は、33億8,000万円で、前年度比9.0%の増、一方、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債は、9,000万円で、前年度比70%の減で計上しています。
次に、歳出でありますが、義務的経費のうち人件費は39億3,824万4,000円で、退職手当の増などにより、前年度比6.4%、約2億4,000万円の増、扶助費は、68億905万9,000円で、子育てや福祉関係の給付費の増などにより、前年度比4.2%、約2億8,000万円の増、投資的経費は、30億9,666万6,000円で、31億円にせまる投資額になります。具体的には、道路などの基盤整備の充実に加え、津島駅東側駅前広場の整備、天王川公園の大規模改修、南小学校と神守小学校の耐震性貯水槽の設置、神島田小学校体育館の改修や南文化センターなど、公共施設の長寿命化改修などで、前年度比31.9%、約7億5,000万円の大幅増となっています。
令和6年度は、「まちづくり再生第2弾による成長投資」、「子育て支援トータルプランのさらなる充実」など、未来の津島へ向けて、多くの重要事業を計上する積極予算を編成いたしました。
このため、予算編成にあたりましては、市の貯金ともいえる財政調整基金から20億5,000万円を繰り入れておりますが、財政調整基金の残高は、令和5年度末で約47億円まで増加する見込みであり、令和6年度当初予算への繰入後でも、27億円ほどの残高を維持できます。
津島市の財務体質は大きく改善しており、着実に安定してまいりました。今後につきましても、行財政改革などに不断に取り組み、持続的な行政運営に努めながら、必要な事業を効果的に展開することで、つしま成長戦略を確実に推進してまいります。
結びにあたり、今議会には令和6年度当初予算をはじめ、条例などの諸議案を提出しております。いずれも市政運営に欠くことのできないものばかりであります。十分ご審議の上、適切なるご議決をいただきますようお願い申し上げます。
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